マイクロソフトの直販サイト イノベーションか白いブラックスワンか
Microsoftは11月17日、自社製品専門の直販サイトをオープンした。
ダウンロード版もあって、パッケージがゴミにならないメリットはあるが、総じて価格は高めである。Amazonや他のソフト通販サイトの方がポイントも付いて安い。
本気で売る気があるのだろうか? それとも別の何かをやるための布石、実験なのか?
Microsoftのインターネット・ビジネスの切り札、クラウド・コンピューティング
私の今の考えでは、Microsoftはクラウドでインターネット時代も十分やっていける、それどころかこのカテゴリーでも帝国を築ける、そういう手応えを感じているのではと。
よって、Microsoftは広告のGoogleとの競争を本格化せず、またYahoo! Inc.買収もしない、そう予想している。
これは、Microsoftが持つ企業DNAの本領発揮ということでもある。
ソフトウェアの開発と販売、莫大な収益、エンタープライズ市場、そういった強み、コア・コンピタンスを最高に活かせるスキームとして、クラウドを認識しているのではなかろうか。
これは逆に、Googleが反面教師になっている。また、それが分かったのも、すべてGoogleの後追いを徹底的にやったからだ。
広告システムの開発以外は、すべてお金にならない事業であり、既存市場を破壊した跡でも、見渡せば収益の見込めない更地ばかりだったわけだ。
検索エンジンさえも、広告を載せる皿でしかない。
はじめは、Googleの驚異、インターネットを検索と広告で支配し尽くす魔王のごとく見えたのだろうが、この覇者が手にしたものはスクラップやゴミクズばかりで、金貨や財宝が見当たらないのである。
だからこそ、利益を上げることが企業活動としか思えないMicrosoftは、Google追撃にしくじったとも言えるのである。
何度もいうように、インターネット・ビジネスは、(1)販売、(2)課金、(3)広告、の3つしかない。
Googleのビジネスモデルは、今のところ(3)広告である。
あらゆるものを検索データ化し、そのSERPsにAdWordsを表示させるのがGoogleの将来的な収益パターンである。
Androidもクラウドも同じスキームである。
そして、クラウドで先行するGoogleはもとより、AmazonやIBMなど、各社の取り組みを傍観していて、Microsoftは自社が十分勝てる戦場であることを見て取ったと思う。
ここにいたって、Googleが覇権を握ったかに見えたインターネットが、Microsoftを脅かすブラックスワンが、今まで見て親しんできたホワイトスワンに変わったのである。
あるいは、ブラックスワンであっても、白く塗りたくってホワイトスワンに仕立て上げることができるようになったのである。
Microsoftのインターネットにおけるビジネスモデルは、Google後追いの(3)広告を捨て去り、まずはクラウドにおける(2)課金へシフトしていくものと見られる。
そして今回の直販ショップは、(1)販売の取り組みもあるかもしれないが、将来的な(2)課金のシステムを運営するための実験ではなかろうか。
Windows Azureでサードパーティのビジネスを支援するには、ユーザーがダウンロードし支払うようになるからだ。
こういったことは、新しい酒を古い革袋に入れるようなものなのだが、Microsoftなりの破壊的イノベーションであると言えるだろう。


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